2026年7月05日
科学雑誌『Newton(ニュートン)』2026年7月号「医療最前線」で、緑内障治療の進歩が取り上げられ、レーザー治療の「SLT」と、「iStent(アイステント)」を用いた低侵襲緑内障手術が紹介されました。いずれも当院で行っている治療です。
『Newton』は1981年創刊の一般向け科学雑誌で、宇宙・生命・医学・テクノロジーなど、幅広い科学分野をわかりやすく解説することで知られています。今回、緑内障治療の選択肢としてこれらの治療が取り上げられたことは、一般の方にも緑内障治療の進歩を知っていただく良い機会になると考えています。
緑内障とその治療
緑内障は、眼圧などの影響で視神経が障害され、視野が少しずつ欠けていく病気です。日本の中途失明原因の第1位であり、いったん失われた視野を元に戻すことは難しいため、早期発見と継続的な治療がとても大切です。
緑内障治療の基本は、眼圧を下げることです。従来は、眼圧を下げる目薬を毎日続ける治療が中心でした。もちろん点眼治療は現在でも大切ですが、毎日続ける負担や、充血・かゆみ・まぶたのかぶれなどの副作用が問題になることがあります。また、毎日の点眼を正しく継続できなければ、十分な治療効果が得られにくいという課題もあります。
近年は、点眼薬だけでなく、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)や、iStentに代表される低侵襲緑内障手術など、緑内障治療の選択肢が広がっています。
SLTレーザーとは?(保険診療)
SLTは、目の中の水の出口にレーザーをあてて房水の流れを改善し、眼圧を下げることを目的とした治療です。目を切らずに外来で短時間に行うことができ、点眼薬をなくしたり、減らせる可能性があります。
SLTは、点眼治療で十分な効果が得られなかった場合だけに行う治療ではありません。英国で行われた大規模臨床研究「LiGHTスタディ」では、SLTは開放隅角緑内障や高眼圧症に対する第一選択治療として提示されるべき治療と報告されています。
さらに、眼科領域で世界的に権威のある医学雑誌『Ophthalmology』に2025年に掲載されたLiGHTスタディの視野進行解析では、初期治療としてSLTを行った方が、点眼治療から開始した場合よりも視野を保つ効果に優れており、新規診断の高眼圧症・開放隅角緑内障では、SLTを第一選択として優先すべきと結論づけられています。
そのため当院でも、SLTを「点眼治療でうまくいかなかった場合の次の手段」としてではなく、早い段階から積極的に検討すべき治療選択肢と考えています。
iStentとは?(保険診療)
iStentは、人体に埋め込まれる医療機器の中で世界最小とされるほど非常に小さな、チタン製のステントです。目の中の水(房水)の排水路に留置し、房水の流れを改善することで、眼圧を下げることを目指します。
当院では、保険診療として白内障手術と同時にiStentを行っています。白内障手術と同じ小さな傷口から挿入できることが特徴で、術後に緑内障の目薬を減らせる可能性があります。
iStentは、保険診療で行う場合、現時点では白内障手術と同時に行う治療です。そのため、緑内障があり白内障手術を予定している方では、白内障手術のタイミングでiStentを併用できるかどうかも、あわせて検討しておくとよいでしょう。
当院の緑内障治療は「選択肢の豊富さ」が特徴です
当院では、緑内障のタイプ・進行度・眼圧・視野やOCTの検査結果・隅角の状態・白内障の有無などを総合的に判断し、治療方針をご提案しています。
緑内障治療は、「毎日の目薬を一生続ける」だけの時代から、早い段階でレーザー治療も含めて眼圧を安定させ、点眼の負担を減らすことも考える時代へ変わりつつあります。
「目薬を減らす方法はないか」「SLTを受けた方がよいのか」「白内障手術と一緒にできる緑内障治療はないか」と感じている方は、お気軽にご相談ください。
詳しくはこちら⇒当院の緑内障治療