緑内障
緑内障
緑内障は視野(見える範囲)が徐々に狭くなっていく病気で日本人の失明原因第1位となっています。
40歳以上の20人に1人がかかるといわれており、約9割は気づかないまま過ごしています。
初期にはほとんど自覚症状がないため、気づいた時にはすでに進行していることも。
定期的な検査による早期発見がとても大切です。
目の中の圧力(眼圧)を調べる検査です。
体の血圧と同じように、この圧が高くなると視神経にダメージを与え、緑内障の原因になります。当院では、目にそっと風をあてるだけの痛みの少ない方法で測定します。
また、日本人の緑内障の約7割は眼圧が正常でも発症するタイプのため、眼圧だけで安心せず、他の検査も組み合わせて診断しています。
見えている範囲(視野)が「欠けていないか」を調べます。
緑内障では、気づかないうちに見えない部分が広がるため、早期発見がとても大切です。
当院の視野検査機械では、
ご年配の方でも安心して受けていただけます。
視神経や網膜の厚みを「1,000分の1ミリ」単位で調べます。
健康診断や診察では見つからないようなごく初期の変化もとらえられる画像検査です。緑内障の進行状況を詳しく把握するのに役立ちます。
隅角(ぐうかく)は、目の中の「排水口」です。
ここが狭くなると眼圧が上がりやすく、緑内障のリスクになります。当院ではCASIA2という検査機器を使い、360度立体的に観察します。ごくわずかな狭さや閉塞のリスクまで見逃さず、緑内障のタイプを見極めるのに役立ちます。
現在、日本で最も多く行われているのが点眼薬による治療です。目薬で眼圧を下げることで、視神経への負担を減らし、進行を防ぎます。ただし、緑内障の点眼薬には
といった副作用が出ることもあり、毎日忘れずに使い続けるのが大変だという声も少なくありません。
そのため最近では、後述するレーザー治療(SLT)の有効性が認められ、イギリスなどではSLTが第一選択になりつつあります。
SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)は、目の中の“排水口”にあたる線維柱帯にレーザーをあてて、水の流れをよくし、眼圧を下げる治療です。
短時間・低負担
毎日の目薬を減らせる可能性も
将来の手術を避けられる可能性も
SLTの効果は、イギリスで行われた大規模研究「LiGHT(ライト)スタディ」で証明されており、世界的に権威のある医学雑誌『ランセット(The Lancet)』に掲載されました。また、日本人を対象とした研究でもSLTがしっかり効果を発揮することが確認されています。
このような方には、SLTが有力な選択肢になるかもしれません。まずはお気軽にご相談ください。
緑内障の中には、目の中の水(房水)の出口が狭くなり、急に眼圧が上がるタイプ(閉塞隅角緑内障)があります。このタイプの治療や、急な発作を防ぐために行うのが、レーザー虹彩切開術(LI)です。LIは、虹彩(茶目の部分)に小さな穴を開けて、水の流れの通り道を作り、眼圧の急上昇を防ぎます。
高齢の方では、LIよりも白内障手術の方が効果的な治療になることがあります。白内障手術によって隅角が広がり、水の流れがよくなることで、眼圧が自然に下がることが期待されます。
iStent inject W(アイステント・インジェクトW)は、白内障手術と同時に行うことができる、緑内障に対する低侵襲なステント手術です。目の中の水(房水)の出口に、ごく小さなチタン製のマイクロステントを2本挿入し、水の流れをよくして眼圧を安定させる効果が期待できます。当院では、白内障と緑内障を両方お持ちの患者様に対し、この同時手術を積極的にご提案しています。
※MIGS(低侵襲緑内障手術)とは、従来の緑内障手術よりも切開が小さいリスクの低い手術方法です。
極細のフックを使い、目の中から線維柱帯を切開する方法です。排水溝の流れを改善させ眼圧を下げます。
手術にかかる時間・方法
手術後の経過
手術後の注意点
手術後、抗菌薬やステロイドの目薬を使用し、感染症予防と炎症の軽減を図ります。術後定期的な診察を受ける必要があります。
| SLT(レーザー治療) | 約30,000円(3割負担)/約10,000円(1割負担) |
|---|---|
| LI(レーザー治療) | 約30,000円(3割負担)/約10,000円(1割負担) |
| 白内障緑内障同時手術(iStent injectW®) | 約90,000円(3割負担)/約20,000円(1割負担) |
| 白内障緑内障同時手術(マイクロフックによる線維柱帯切開術) | 約80,000円(3割負担)/約20,000円(1割負担) |
| マイクロフックによる線維柱帯切開術 | 約60,000円(3割負担)/約20,000円(1割負担) |
※手術内容や使用機器により前後します。
※高額療養費制度の適用により、実際の負担額が軽減される場合があります。
残念ながら現在の医療では、緑内障で失われた視野を元に戻すことはできません。しかし、適切な治療により進行を遅らせたり、止めたりすることは可能です。早期発見・早期治療が何より重要です。
はい。緑内障には遺伝的要因があるため、定期的な検査をお勧めします。
はい。日本人の緑内障の約7割は正常眼圧緑内障です。眼圧が正常範囲内でも視神経が弱い場合に発症します。
緑内障は進行を防ぐため、基本的に目薬の継続が必要です。ただし、レーザーや手術により点眼薬を減らしたり、中止できる場合もあります。
点眼麻酔を行うため、痛みはほとんどありません。治療時間も5分程度で、日帰りで行えます。
目薬を追加したり、必要に応じて手術治療を検討します。SLTを行ったからといって目薬が使えなくなるなどの制限はありませんのでご安心ください。
レーザーや点眼治療で十分な効果が得られない場合、白内障手術を控えている場合などが適応となります。詳しくは診察時にご相談ください。
当院で行う白内障・緑内障同時手術は日帰りで行うことができます。緑内障が末期で入院が必要な手術の場合は、慶應義塾大学病院など連携病院での入院手術をご紹介しますのでご安心ください。
術式・病状により異なりますが、一般的には翌日、数日後、1週間後、2週間後、1か月後、3か月後、以降3か月ごとです。
緑内障手術の目的は眼圧を下げて病気の進行を止めることですので改善しませんが、白内障緑内障の同時手術では、白内障が治るので視力が改善します。
申し訳ございませんが、安全性を最優先に考え、片目ずつ手術を行っています。通常1〜2週間の間隔をあけることで、より安全に手術を受けていただけます。
はい。医療費が高額になった場合、「高額療養費制度」により自己負担額が一定の上限までに抑えられる仕組みがあります。
マイナンバーカードを保険証として利用し、「限度額情報の取得に同意されている方」は、申請なしでこの制度が自動的に適用され、窓口でのお支払いが限度額までとなります。同意されていない方やマイナンバーカードを利用していない方は、事前に「限度額適用認定証」の申請が必要です。詳しくは、ご加入の保険組合または市町村の窓口にご確認ください。
また、民間の医療保険にご加入の方は、「手術給付金」の対象となる場合があります。
保険会社にご確認いただく際は、以下の手術コードをご参考ください。
| 治療名 | 手術名 | 手術コード |
|---|---|---|
| SLT(レーザー治療) | 隅角光凝固術 | K273 |
| LI(レーザー治療) | 虹彩光凝固術 | K270 |
| 白内障・緑内障同時手術 (iStent inject W) |
緑内障手術・水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術 | K268-6 |
| 白内障・緑内障同時手術 (マイクロフック使用) |
水晶体再建術・ロ その他のもの/緑内障手術・眼内法 | K282 および K268-イ |
| 線維柱帯切開術 (マイクロフック単独) |
緑内障手術・眼内法 | K268-イ |
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